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      【マンション外壁タイル剥落の恐怖】 

 

 最近のマンションは、外壁をタイルにしたものが多く、見た目にも高級感が有りますが、これがとんでもない欠陥を露呈し始めています。外壁タイルが剥落し、時には死傷者を出していることです。
 

 国交省も外壁タイルの調査を開始し、その結果、2008年国交省告示282号で「ビル・マンション等特定建築物の外壁タイルについて、2008年4月1日以降、竣工、外壁改修、直近の全面打診から10年以上の湿式工法による外壁タイルについては、3年以内に全面打診調査をすること」を告示し義務付けました。違反には100万円の罰金が有ります。尚、毎日新聞のアンケート調査によると、外壁タイルの約10%で剥落の危険があるとの回答があったそうです。外壁タイルの工法には、大まかには、湿式工法、乾式工法、プレキャスト工法の三つがあり、モルタルを使用する湿式工法による外壁タイルに剥落の危険性が有るとされています。

施工不良には損害賠償請求
 ところで、外壁タイルの全面打診調査の義務化により、外壁タイルの補修工事のため大幅な工事費アップを余儀なくされ困っているという相談を受けたことが有ります。
 「築10年過ぎのマンション、外壁はタイル。大規模修繕工事に際し、当初の仮見積が約5000万円。ところが足場設置後に外壁タイルの全面打診した後の工事金額が、およそ当初見積の倍。原因はタイルの施工不良にあると思われるが、品確法の10年も経過してしまっている。施工不良を理由に施工会社に損害賠償請求できないか」という相談です。工事コストが高くなった原因は、仮見積時点では、一般的な3-5%程度の外壁タイル補修を想定していたのが、足場設置後に全面打診した結果、30%を超える大幅補修となったというものです。


 「施工不良は不法行為であり、不法行為の時効は20年(民法724)であるので、施工不良を証明できれば損害賠償請求は可能」です。但し、20年の時効経過後は、よそに責任を持って行きようが無く、全ての責任は当該ビル・マンションに帰すことになります。

施工不良に対する最高裁の判断
 「建物は、居住者等の生命、身体、財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければ成らない。・・・基本的安全性を損なう瑕疵が有り、それにより居住者等の生命・身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者は、特段の事情がない限り、不法行為による賠償責任を負う。」

 

 〇最高裁判所判決 平成19年7月6日(裁判所ホームページ)
 

 〇最高裁判所判決 平成23年7月21日(裁判所ホームページ)
 

 〇民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
 「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害

 者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時

 から二十年を経過したときも、同様とする。」
                               (文責 河野)


 

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